「月刊アフタヌーン 9月号」講談社

高田裕三の新連載「リトル・ジャンパー」が始まってる。これまで載っていた「幻蔵人形鬼話」は短い話には良いものもあった。しかし連作短編の限界か、基本的にバリエーションに乏しいから目新しさに欠けていた。今度はかなりベーシックなSFラブコメになりそうで期待しとく*1。そうかフォーマットは「御先祖様万々歳」か。「げんしけん」(木尾士目)はタイトルの「第1回 緊急コミフェス対策原稿ほとんどできてねえよ会議」が内容を言い尽くしてる。荻上の「っス」付け喋りも可愛く見えてきた。「プーねこ」(北道正幸)。四ページでここまで大風呂敷を広げられるのはやっぱ凄い。ネコ中心の話じゃない方が好みだな。八七年ごろに確かに巨大迷路ブームってありましたね。北海道は北竜町では今でもひまわり畑に巨大迷路作ってますよ。「GUN SMITH CATS BURST」(園田健一)は長いブランクを感じさせない手馴れた導入。旧シリーズって今でも普通にコミックスの新刊で買えるのね。ガンスミは高校時代の僕にアフタヌーンを定期購読させたトラウマ漫画なので単純に嬉しい。「「無限の住人」(沙村広明)は相変わらず万次絶賛幽閉中。217ページの人体融合カットが「生物都市」みたいで、個人的に(´∀`)b グッジョブ!。「アキバ署!」(瀬尾浩史)二話目。安定して面白い。勤務先は外神田署になってるけど、あくまで万世橋署ではないらしい(笑)。神田錦町のほうに神田署とゆーのはありますけどね*2漆原友紀の読み切り「岬でバスを降りたひと」は丹念な語り口が印象深い。結構複雑な話なのにすっと読ませるのは作者の力量ですね。「ヒストリエ」(岩明均)は、今回で主人公エウメネスの立ち位置が定まった。あとはどうとでも話が転がせるところ。ここで単行本加筆修正作業のため次号は休載とは殺生なり。「EDEN」(遠藤浩輝)はセンターカラーの表紙がカッコ良い。ミリアムってプラチナブロンドだったんだ。遠藤浩輝の作者近況は相変わらず長い。ハシラに9ページ、3行づつで27行、計1500文字弱。400字詰め原稿用紙で4枚近い作者近況ってなんだよ(笑)。グローバリゼーションが地球上の富の分配の不平等を助長しているという危機感は、ちょうど「私物化される世界」(ジャン・ジグレール ISBN:4484041103)を読んでいるところだったので西手新九郎。てか、こんなことを気に病んでいるから本業の漫画が迷走するんじゃ……。ところで、もう連載80回なんすね。
いろんな意味で注目作の「リンガフランカ」(滝沢麻耶)。成り行きで組んだコンビは実は中学の同級生だったというのは、まあありがちだけど悪くない。昔こんな偏屈で変わったやつが自分の周りにも居たな、という思い出を読者にも思い起こさせ岸部というキャラに深みを与えている。コマ割りが見づらいのは相変わらず。主な舞台がファミレスというのも第一回と同じで、ひねりが無いようにも思える。ん〜、でもそーゆーあやうさ込みで面白い。あと、この漫画の岸部と笑太のコンビからスピードワゴンを想起するのは僕だけだろうか。昨夜のエンタの神様を見ながら、あえてモデルを選ぶならスピードワゴンかなと思っていた。あとはザクっと。「もっけ」(熊倉隆敏)は今回イマイチかな。サブキャラが話の中心というパターンは初めてなので読み慣れない感じ。「リトル・フォレスト」(五十嵐大介)。米サワーの話は別件で最近聞いたばかりだったので、シンクロにビックリした。最近流行りなのだろうか。連載陣が充実してたからか、カラスヤサトシの巻末四コマは不作。次号はがんばって欲しい。「おおきく振りかぶって」(ひぐちアサ)は多分面白いのだろうけど、野球に対して徹底的に興味が無いので試合シーンが続くと漫画として読むのもつらい。ごめん(誰に?)。
416ページの自社広告、「アフタヌーン四季賞CRONICLE 1987-2000」は気になる。受賞作をまとめた単行本を出すということだろうけど、時期未定。87年の入江紀子、88年の須藤真澄、89年の新井英樹の三人は四季賞出身とは知らず意外だった。博内和代小川幸辰大西巷一あたりの名前が出てないのが気がかり。岩原裕二の名前も無いけど、彼は受賞作も含んだ単行本が出てるからいいや。荒巻圭子がラインナップに入ってるのは逆に驚いた。氏のウェブサイトなど見ていると、作家として復帰しつつあるようで喜ばしい。そうそう、付録のベルダンディー・フィギュアは放置中。どうせならミニー・メイで……Σ(´Д`。

*1:しかし他の方の感想を見ると、この作品に対しては評価が辛いねえ。若い漫画読みには高田裕三はもう終わった漫画家なのか?

*2:その昔は外神田署も実在したらしい:http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/1/kanda/intro/introbot.htm