長編小説企画書(2024/03/02)

■タイトル

『野蛮人のメソッド』

 

■ジャンル

近代異世界ファンタジー

 

■想定読者

中高生男子

 

■舞台背景

太古からエルフ、ドワーフ等の諸種族をひとまとめにヒトと呼び共生する異世界が舞台。近代日本をベースに西欧文化が取り込まれたような世界観。産業革命は部分的に達成されており、立憲君主制の議会政治が行われている。都市国家間の通商は盛んで、海路と空路による貨幣経済が発達している。

ヒトは城壁に囲まれた都市国家に居住するのが一般的で、モンスターが闊歩する地上に定住する者は少ない。舞台となるのは都市国家「上都(シャンドゥ)」。

 

■ログライン

モンスターの手で野外で育てられた捨て子の少年が、ルーツを知りたいと願い都市にたどりつき、そこに住む人々と関わりを持つ中で図らずも彼らの抱える問題を解決する話。

 

■ヒトの各種族

・モータル

いわゆる人間。諸種族の中で最も短命であることからモータル(定命の者)と呼ばれる。平均寿命は八〇歳ほど。

産業革命以降、文明の担い手として全人口の半数を占めるまでに躍進した。

 

・エルフ

不老で寿命を持たない種族。一〇〇〇歳を超える者もそう珍しくない。小柄で中性的な容姿をしているが、モータルとの外見上の違いは少なく、耳朶が発達していることと網膜の輝板がかすかな光でも反射すること以外で見分けるのは難しい。

五感と記憶力に優れ、口伝の魔法を能く用いる。伝統的に文字を持たないが、若者の多くは義務教育での読み書きに抵抗がない。

 

ドワーフ

この世界のドワーフは氏族(クラン)ごとに異なる獣を始祖神(トーテム)として崇めており、姿形はその獣の特徴を備えている。一般に体の多くが体毛に覆われており、獣のような耳や尻尾を持つ者も多い。寿命は氏族によって異なり一〇〇歳~三〇〇歳程度の幅がある。

山猫を始祖神とする小柄な氏族から、羆を崇める大柄な氏族までバリエーションに富むが、いずれにせよ身体能力は諸種族の中でも抜きん出ている。その特徴を活かして鉱業や林業、建設業などに従事する者が多い。

 

・サーヴィタ

ヒトに似せて作られたと創世神話で伝承されている存在。白髪に灰色の瞳、白い肌を持ち、手先が器用なことで知られる。

雌しか生まれず、産卵個体の「女王」が多くの孵卵個体「産婆」に受精卵を渡し、遺伝子的には同一だが生殖能力を持たない「娘」をヒトの労働力として提供する。その見返りに多種族の庇護下で、都市の地下に「巣(ハイヴ)」を形成する。

稀に生まれる生殖能力を持つ「王女」は、他のハイヴ出身の王女と有性生殖し互いに受精卵を得るが、緊急時はヒトの多種族と交わることでも受精卵を得ることができる(この場合は無性生殖となる)。

女王の寿命は五〇〇歳とも云われるが、娘たちは長く生きても三〇歳ほど。

 

■キャラクター

・ロロ

主人公。十四歳・男性。

出生後すぐにヒトもモンスターの多くも近づかない、呪われた古代都市の荒れ果てた廃墟に捨てられた。希少な苔食いドラゴンの雌と、偶然スイッチの入った古代の超々距離追尾ミサイルのAI・スナークに育てられた。

ロロの正体は本来生まれる筈のないサーヴィタの雄。ただし、その姿は黒髪に黒い瞳のモータルのように見える。「王子」が生まれた巣は滅びると信じられているため、死を願って捨てられた。

ミサイルのAI・スナークの限定されたメモリではロロのルーツを解き明かすことができず、都市のデータベースや書庫は既に朽ち果てている。自らの出生の秘密を求めて、ロロは堅牢無比なミサイルを相棒&棍棒代わりに携えて旅に出る。

 

・綿毛(わたげ)

ヒロインその1。十四歳・女性。

「上都」にハイヴを構えるサーヴィタの王女として生まれ、十四歳になるまでハイヴを出ず女王としての帝王学を学んでいた。過去数十年の間に幾人かの王女が都市を出たが、配偶者と出会い帰還した者はいない。

上都議会と王の承認を得た王女はハイヴと都市の期待を受け、旅立つ日を待っている。

なお、綿毛という名前は主人公たちに出会ってから付けられたあだ名。本来の識別名は素早く呼吸するさまで表され、他種族には発声も聞き取りも難しい。

 

・リエル

ヒロインその2。一二〇歳・女性。

モータルとエルフの混血だが、エルフだと偽っている。まだエルフの成人年齢に達していないが、これまでに出会ったエルフの知る全ての魔法を覚え使いこなす天才。

生まれ育った「上都」を出て、世界の全ての魔法を習得したいと願っている。

 

・レイシ

サブキャラクター。四〇歳・男性。

穴熊(ラーテル)の氏族のドワーフ。薬用キノコを商う家に生まれ、幼少時より野外での採取に同行していた。

鼻が利き、戦闘兼用シャベルでモンスターとも渡り合う熟練のレンジャー。

周囲のドワーフとは一風変わった性格の持ち主であるレイシは、家業のキノコを扱うあまり毒性のある胞子も余分に吸って、早死にする親族が多いことを憂い改善したいと考えている。

 

・弥七(やしち)

サブキャラクター。十九歳・男性。

モータルの商人。商家の七男で親戚の商家での丁稚奉公も終えたのに、継ぐ当てもない実家に戻り無駄飯を食っている。

機械いじりが好きで、なにか大きい仕事をしたいと考えているが機会に恵まれない。

 

■作中で主人公が関わる問題

・エルフの問題

少子高齢化のすえ、魔法の担い手が途絶えようとしていること。

>解決

モータルとエルフの婚姻はタブーとされてきたが、最強の魔法使いが混血であることを公にし、法整備の機運を高める。

 

ドワーフの問題

種族全体にはびこる過重労働。蓄財を好み一本気な気質から、どのような仕事であってもタフな体力で根を詰めてしまい、過労死が問題となっていること。

>解決

嗜好品としてドワーフが好むタバコに、ニコチンを上回る依存性と一時的な覚醒作用をもたらすが、徐々にリラックスさせ多幸感と鎮静作用を持つキノコを添加したものを流行らせる。

 

・モータルの問題

貨物用の飛行船を牽引するために必要なワイバーンに病が流行し、他の都市との交易に支障が出ていること。

>解決

これまで扱い方の分からなかった古代都市の廃墟から出土する機械の制御コマンドがを明し、エンジンにプロペラを取り付けた飛行船の運航が可能になる。

 

・サーヴィタの問題

女王はまだ猶予はあるものの十年、二十年後の死期を悟っており、後継者の王女に配偶者を得て緩やかにハイヴを継がせたいと危機感を持っていること。

>解決

王女は配偶者として遠いハイヴからやって来た「王子」である主人公と出会う。

 

■あらすじ

1.
主人公・ロロはモンスターに追われていたハーフエルフの少女・リエルを助ける。

リエルはサーヴィタの王女・綿毛の出立式の日を目前に浮き足立っている都市から家出を目論んだが、持ち出した地図の見方を間違えて往生していた。

家出を諦め都市に戻ると言うリエルに同行するロロ。

弱ったワイバーンが脱落し編成が乱れて墜落しかかっている飛行船を見たリエルは魔法で森からツタの網を伸ばし着陸を成功させる。

搭乗していた弥七に貨物と命の恩人と感謝されるリエルとロロ。

リエルの魔法で浮かせた飛行船を、ロロが尋常ではない腕力で牽引し無事都市に到着する。

2.

ロロは出立式を前にした綿毛を遠目に見て、これまでにない衝動を感じる(フェロモンの影響)。

弥七の計らいで宿を取り、リエルも交えて都市や人々のことを聞くロロ。

夜中に宿を抜け出し都市を観察していたロロは、王城近くで綿毛と間近に接し言葉を交わすが、控えていた兵士に見咎められ乱戦となり、全員倒してその場を去る。

翌日、綿毛の旅に同行する兵士が不足し募集がかけられるも、応募したロロの強さから夜襲の嫌疑をかけられる。

弥七の口利きと、王の前で再度強さを示したことで同行が認められるロロ。

さらにロロへ旅立ちの準備を助けると申し出るリエルと弥七。

しかし、出立式直前に綿毛が失踪する。

リエルと弥七も巻き込んで捜索し、サーヴィタに差別意識を持っているモータルの一派に監禁されているとわかる。

彼らを蹴散らすも、さらに仲間が追ってくる。そのまま逃げることを提案するリエルに従うロロと綿毛。弥七は分かれて人を呼びに行く。

リエルの魔法も使い、無事都市を出た三人。のちにワイバーンで追いつき合流する弥七もあわせ旅がはじまる。


(あとは前述の問題を解決していく流れ)


3.
特にここと決まった行き先もなく、綿毛の希望でロロの育った古代遺跡に立ち寄る。

誰かが踏み込んだ形跡を追い、ドワーフ・レイシと出会う。

レイシの目的(キノコ)を叶えるため、手がかりがあるという遺跡の奥のダンジョンを探索する。

その中で、リエルの魔法の強さが証明されていく(具体的なエピソードはこれから)。

古代遺跡の一部が生きていることがわかり、ワイバーンの代わりに使える機械の可能性が共有される。

弥七の目的がここで定まり、皆も協力する。

4.

反サーヴィタ派の追っ手の罠にかかり、一同はバラバラになる。

各自の努力と互いへの信頼で障害を打破し合流する。

最後の障害を排除するとともに、ロロの正体が判明する。

大団円へ。

 

以上