「ドーン・オブ・ザ・デッド(DAWN OF THE DEAD)」2004年/米/100分

キューティーハニーに続いてハシゴ。シネコンはこういうとき便利です。

ジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」のリメイク。リメイクだけにお約束のショッピングモールでの篭城が中心になります。テレビCMでは一人の少女のゾンビ化から全ては始まった……みたいな煽りかたになってますが、その辺は展開には全然関係無し(笑)。これまた展開がスピーディーな映画でした。主人公の女性看護士が仕事を終えようとしているファーストシーンの時点で、すでにゾンビ患者(この時点ではまだそれとはわからないけど)が病院に運び込まれてます。展開がスピーディーならゾンビもスピーディー。とにかく全力でスプリントする溌剌とした(?)ゾンビが印象的です。ことに冒頭でゾンビの餌食となる主人公の夫が、カローラに乗って逃げようとする主人公を追うカット。全速力でクルマを追いかけてたのに、視界に逃げ惑う隣人の姿が入るや急ターンしてそちらに襲いかかります。この臨機応変さは怖いわ〜。その後ショッピングモールに立てこもりゾンビとの攻防戦を続けつつ、生存者同士の対立の人間ドラマなどあるのですがこのへんそれほど力を入れていない感じ。旧作「ゾンビ」が色々メッセージ性がどうのと深読みされてるのに比べて(つーかロメロ自身がそう作ったってぶっちゃけてるか)、サバイバルシミュレーション映画としての側面が強調されているように思います。登場人物たちの対応もホラー映画にありがちなあまりにも愚かで無配慮という物でもないし。初めは自己中心的に見えたショッピングモールの警備長が漢気溢れる死に様を見せたり、肉親がゾンビ化するのを受け入れざるを得ない状況など、あるにはあるのですがかなりサラッと流しています。この辺、肩透かしっぽく感じないでもないですが、登場人物に感情移入する映画じゃ“ない”と割り切れば何ということもありません。次から次へと迫り来る状況と、生きるために奮闘する彼らの姿を追うだけで十分楽しめます。見終わった後、自分ならあの状況でこうするとか、あの登場人物はなぜあんなことをしちゃったんだ、とか語って楽しむ映画だと思いました。ショッピングモールでの無軌道生活もゾンビ狩りも楽しそうです。夜が明けたら世界はほぼ終了。軍は頼りにならないし、ゾンビはイキイキしているし。あと、空撮によるカットとテレビから入る情報で世界の破滅の状況を伝える演出手法は上手いと思いました。登場人物たちが携帯電話やネットで情報収集をしないのが謎ですが(笑)。(ひょっとして時代設定も「ゾンビ」当時の一九七八年なの?! エンディングに出てきたカメラは8㎜だったかDVだったか……)。