Quartett!初プレイの感想

しばらくパッケージを眺めてから開封自作PCにインストールしつつ、同封の弦楽曲のサントラCDはiBookの方に挿入して早速iTunesでライブラリに読み込み。を、ネットにもうトラック名が登録されてるね。さすがだ。以下初プレイの感想。多少ゲーム内容に触れてるので知りたくない人は引用ブロックで囲ってある部分を読み飛ばすように。

さてゲーム内の2月28日、合宿初日まで進めてみた。前作「白詰草話」と同じFFDシステムを用いて、あたかもマンガのコマ割りをアニメーションで見るかのように画面は進んでいく。一見してテンポが良くなっていることがわかる。演出がこなれたということもあるだろうけれど、フキダシが出てくる時や文字が流れる時のちょっとしたアクションがリズム感を伝えてくれている*1。このバリエーションがぐっと増えているように思う。
次に音関係。劇伴として弦楽曲が常に流れてて雰囲気はとてもいい。物語内で頻繁に出てくる演奏シーンにシームレスに音がつながるのも良い。BGMと効果音と「そこ」で実際に演奏されている曲を独立したものとして意識するというのは、ゲームとしてはなかなか稀有な体験である。映画的といってもいい。そこで、キャラクターのセリフに音声が無いのが欠点のように感じる人もいると思う。ここは微妙なところで、フキダシの演出の趣を音声が邪魔してしまうのではないかという気もする。特にフキダシ内の文字の流れ方に緩急を付けている場合など、これと音声の同期を取ることは技術的に至難の業となるだろうことは容易に想像される。通常のAVGでテキストと音声がケンカをしないのは、テキスト表示にはほとんど演出が加えられていないからだ*2。このあたり早くも次回作への期待となるが、更なる進化を望む部分である。
絵については水彩風の塗りのトーンも全体で統一されているし、なにより驚異的な枚数のコマ絵が惜しげも無く繰り出されるのには驚いた。「白詰草話」では同じ絵の使いまわしが少なからず目に付き、表情とストーリーの流れに違和感を感じる場面があった。今作では今のところそうした乖離はほとんど見られない。むしろ同じシチュエーションの繰り返しを強調するために、アニメでいうところの「バンク」処理を行っているところなどニヤリとさせられる。
こまかいシステム面の改良もなされている。フキダシとコマ絵を隠すモードはありがたいし、バックログを見る機能の追加は前作での欠点の補完。背景美術とコマ絵を見せることに特化したシステムデザインは秀逸。個々のアイコンなども洗練されている。MacOSXのルック&フィールに大きく影響されたと思われるが*3、マカーの僕としてはこの辺も心憎い(w。

てなわけで今のところ不満らしい不満はないです。素晴らしい。しかし一時間半以上プレイしてるのに、エッチシーンがまだ一個も出てこないというのはどうとらえればいいのか(w。営業的に仕方が無いのだけど、このゲームを十八禁で出さないという冒険も選択肢としてあり得たのではないかと夢想してみるテスト。

*1:たとえば会話が弾んでいる時はフキダシも一瞬弾むように見えるが、…(三点リーダー)で始まるような口調の時はフェードインしてくるなど

*2:主人公が妹に起こされる夢のシーンで、これを自覚的に皮肉った演出がある

*3:システムメニューの動きなどまるっきり「Dock」