「蕗のお便り 1」菅原雅雪 講談社 ISBN:4063375390

モーニング誌上で連載中。作者の菅原雅雪の同誌での連載「暁星記」と交互に載せていたが、暁星記別冊モーニングに移った関係上「蕗のお便り」はそのまま連載続行? ともかく無事に単行本が刊行されて目出たい。コロポックルを連想させる、ちいさなフキの精コルコニ(本来の表記ではルは小さい)とフキノトウの精マカヨが主人公。表紙はエンレイソウの咲く森に無表情がかわいい二人が目印。舞台はあきらかに北海道でしょうね。人間の世界へやってきて、ふとした事故から神様の国へ帰れなくなってしまった山菜コンビ。お米が大好きで人間とも関わりを持つようになるのだけど、案外おおらかに草の精を認めちゃう道産子が可笑しい(もちろん気味悪がる人が大半ですが)。神様の国にはお米が無いというのは、結局稲作はシャモ(和人)が持ち込んだものだからでしょうかね。欠如の描写といえば登場する他の神様や人間のこどもは顔まで描かれるのだけど、人間の大人は鼻の下までの描写で決して顔が出ない。のほほんとした絵柄の中にも描くべき世界の線引きをしっかりしているということなのだろう(どうしても「トムとジェリー」を思い出してしまうけどね)。(22:20)