ドラゴンヘッド 全10巻」 望月峰太郎 講談社
手に入れたので読み始めたら止まらない。最終巻まで一気に読み終えた。連載でトビトビに読んでいたときは主人公たちの状況がつかめずいつまでグズグズしているんだという気がしていたが、まとめて読んでストーリーの輪郭がつかめた。恐怖という感情の強さを描くのが眼目で、カタストロフィの真相やサバイバルの緊迫感はマンガを読ませるための方便だったんだと。だから修学旅行の途中で被災した主人公たちが東京の家にたどり着いたところで話が終わるのは、それ以上描く必要がないからだろう。最終巻では米軍が日本の災厄の裏に国家的な陰謀があったのではないかと恐れて行動をおこしているという、「恐怖」のありかたまで提示される。この部分が消化不良だったのは食い足りない気はするが、東京湾に活火山が誕生し日本政府は完全に崩壊している最悪の状況で、主人公に未来の復興した日本を想像させて終わるラストは感情の力を信じるものにとって希望の持てるものだ。(21:50)