ヒックとドラゴン


今日は学校が休みということもあって、上映が終わる「ヒックとドラゴン」を地元の映画館まで見に行ってきた。モーニングショーで通常2000円の3D映画料金が1500円。このくらいが普通ならもっと気軽に映画を見に行けるんだけどな。
実はこれまでも3D映像をウリにした映画はいくつか見ているんだけど、全部通常の2D版で見ていた。3Dメガネをかける映画はこれがはじめて。最初ちょっと違和感を感じたけどすぐ目が慣れた。日常シーンではあまり遠近感を出さず、肝心のドラゴンの飛翔シーンなどでは目一杯迫力ある絵造りをしているので非常に効果が高い。スピードや高さの表現に3Dは適しているのだなと確認。
内容については、今日で上映期間が終わってしまったのでややネタバレ気味で書くことにする。ドラゴンの生態や、最果ての孤島でのバイキングの生活の描写は、細かいシチュエーションを積み重ねていて子供向けの映画とはあなどれない説得力がある。特に主人公ヒックと心を通わせるドラゴン、トゥースの関係は、心の動きが無理なく伝わってきて脚本の練られ具合を感じさせる。
CGも高レベル。静止画では人形っぽい印象で、あまり魅力の感じられないモデリングが、映像で動き出すと途端に魅力的に映る。これぞまさにアニメーションの神髄(要はアスティかわいいよアスティ、ということですが)。奇抜なスタイルのドラゴンたちのコミカルかつ獰猛な動きは見ていて楽しいし、なにより主人公の一方であるトゥースの全身で語る演技が素晴らしい。最初は寸詰まりのイモリっぽくてドラゴンらしくないかも……と思っていたのに、だんだん愛嬌のある顔に見えてくるのが不思議。仕草が猫っぽいんだよね。
父子の対立と和解、異種族との共生といったテーマはなかなかスジが通っていて素直に受け止めることができる。特に長年の間「害獣」だったドラゴンを、パートナーとして受け入れるという展開は、ハリウッド映画としては珍しいほどストレートに主張していると思う。子供向けのファンタジー映画だからこそ、実際には差別や排外主義の根強いアメリカでもこうした作品を作ることができたのかもしれない。
ラストシーンでヒックが負うあるハンデも、こうした映画では珍しく生々しい。一種の不死身性が担保されているアニメーションのキャラクターで、こうした演出をするのはキャラの存在を一段リアル側に引き寄せられるようで自分は嫌いじゃない。このシーンがあることで、最初にトゥースが負った大怪我に思いをいたすことができれば、最初は理解できない子供であってものちのち得るものがあるのではなかろうか。