広島国際アニメーションフェスティバル三日目(21日SAT)

昨日のフェステイバルの様子をレポート。土日はこども向けのプログラムが充実している事もあり、市民の家族連れの姿が目立つ。午前中は二日酔いでダウン。休もうと椅子の良い中ホールに入ったら、上映作品の「レイニング・キャッツ&フロッグズ」が面白くてついつい見てしまう。午後は「子どものためのアニメーション3」と「現代日本のアニメーション2」を見る。エストニアで制作された「キャロット・パイのためのコンサート」が僕のツボにはまった。ナンセンスな世界が最高。日本の作品のほうは竹清仁(たけきよひとし)監督の「Banana」を見られて幸せ。何度見ても良いです、これは。全体にコミカルな作品がそろっていて、こどもにも受けていた様子。
晩は例によって「コンペティション3」。この日はややメッセージ性の強い作品も見かけられたけど、やっぱり全体にエンターティメント寄り。これは今回の審査員の好みの反映ということなんでしょうか。

  1. 「アーツ・デイズ−ダンス」 (カナダ) マルコム・サザランド:昨日のコンペで間違えて別作品がかかってしまったので上映し直し。まさにAppleiPodのCMの元ネタですね。制作者は同じ人なのかな。☆☆☆
  2. 「アイ・ラヴ・ピクニック」 (大韓民国) アーロン・リム:キャラクターの白熊が不幸な目にあう。三部構成でイースター島、ビーチ、富士山の三か所が舞台。繰り返しギャグが秀逸。☆☆☆☆
  3. 「魚屋」 (台湾) フー-チン・シャオ:うーん、荒い絵が迫力を生んではいるが……。☆
  4. 「ピコール」 (フランス) フランソワ・ベルタン:鳥に精神も肉体も同化していってしまう男の姿が切ない。☆☆☆
  5. 「エクステンション21」 (イギリス) リジー・オクスビー:顔だけ役者を用い、他はカリカチュアされた3DCG。電話を盗聴するシステムが壮大に緻密な馬鹿馬鹿しさで良い。メカニックの心地よさ。☆☆☆☆
  6. 「ガード・ドッグ」 (アメリカ) ビル・プリンプトン:バウンドするボールのような犬の動きが最高。飼い犬があるじを守るがために、出会う生物に対する被害妄想を膨らませる。モグラの仕掛ける罠のアイディアが、もう、凄い妄想力。ブラックなバッドエンディングも決まっている。☆☆☆☆☆
  7. 「ZZZ」(大韓民国) スン-ワン・ヤン、ヒ-ヨン・ジュン、 ドキ・パク、スン-ヨン・パク、 ホン-ウォン・チョイ:ペン画にマーカー着彩みたいな映像が、一昔前の学生アニメみたいで懐かしい感じ。お話は良くわからない(笑)。☆☆
  8. 「ル・ロカテール」 (ベルギー) ミシェル・ルフェーヴル:金髪が鍵となるサスペンスもの。絵もストーリーも味がある。☆☆☆
  9. 「ファンタスティック・セル」 (日本) 水江 未来くるみ割り人形のオーケストラに乗せて、緻密なイラストが縦横に動き、増殖する。体に節のある生き物が苦手な僕には嫌悪感を催させる、が気持ち悪いものほど見つめてしまう。☆☆☆
  10. 「ジュラネシック」 (フランス) ヤン・アヴェナティ、シモン・オードルヴ、ルイ・クリシー、エルヴェ・バルブロー、イン-アー・ロディジェ:人類最初のアニメーションはエロだった!☆☆☆☆
  11. 「シスター・アンド・ブラザー」 (ベラルーシ) イリナ・カデュコヴァ:子羊にされた妹、魔女に入れ替わられた姉。少女漫画みたいなキャラクターがかわいい。なぜ東欧圏の切り絵アニメはこう、いたいけなキャラが多いのだろう。☆☆☆☆
  12. 「鬼」 (日本) 細川 晋:映像の格調高い雰囲気が伝わる人形アニメ。雨の描写が凄い。ストーリーを言葉で説明しすぎている点がもったいない。☆☆☆☆
  13. 「アロス」 (イギリス) ルーシー・リー:人に想われて人は在る。メッセージが素直に伝わる良作。☆☆☆☆
  14. 「リレ」 (フランス) ガイエタン・ブテ、ミカエル・ジェナチ-ル・バイユ:こうしたコンペティションでは珍しいのではないだろうか。クトゥルー神話ものの3DCGアニメーション。漁師の網にかかったクトゥルー像と本。ルルイエの神殿に招かれた男の手の指には水かきが。と、ラヴクラフティアンには説明の必要のないストーリー。あとで気付いたけどタイトルのリレ(Ryleh)ってルルイエの別読みか……。☆☆
  15. 「ノー・リミッツ」 (ドイツ) ハイディ・ヴィドリンガー、アニヤ・パール、マックス・シュトルツェンバーグ:スピーディー&一発ネタ。でもメッセージ性は高い。児童への強制労働反対!☆☆☆☆
  16. 「レゾーグル」 (フランス) セバスティアン・ブランダン:ケンカをしている両親に対するこどもの不安感が良く描かれている。☆☆☆☆
  17. 「ダス・フロス」 (ドイツ) ヤン・チューリン:空と海の描かれ方が残酷なほど美しい人形アニメ。極限状態の二人の男。☆☆☆☆
  18. ザ・シンプソンズ 恐怖のツリ−ハウス14」 (アメリカ) スティーヴン・ディーン・ムーア:説明不要と思う。テレビシリーズからハロウィンを題材とした三話を出品。おもしろいわ。☆☆☆