独居男性に高い自殺危険度 同居者いる人の8・6倍

1人暮らしの男性は同居者のいる男性に比べて8・6倍、独身男性は既婚男性に比べて3・1倍自殺するリスクが高かった。女性では、同居者の有無や、既婚か独身かの違いでリスクに差はなかった。

共同通信(11月21日)より。見出しだけ見ると自分みたいな未婚の男のことを言ってるのかとドキッとするが、それほど単純な話でもないらしい。まず単純に思うのが、リストカットみたいな自傷行為若い女性の専売特許って言うイメージがあるよな、というもの。で、調べてみた。
自殺、ジェンダー、性別産業医実務研修センターのページより)

男性は女性より自殺を完遂する傾向にあり、女性は男性よりも自殺未遂する傾向にある。経年変化でみると、1930年代から1971年までは、自殺率の男女比は、2.5:1前後と低かったが、その後、若年男性の激増と女性の自殺率の低下により、男女の自殺率格差はさらに拡がり、1996年のアメリカの自殺率データでは、男女比は、4.4:1となっている。
(中略)
自殺未遂の疫学研究によれば、思春期、および若年成人層において特に男女差が認められる。14歳以下の小児では、男児のほうが女児に比べ自殺未遂で病院に運ばれている。一方、成人では、自殺未遂は圧倒的に女性に多く、そのピークは、15−24歳である。

つまり男性は自殺を成し遂げるが、女性は死には至らないケースが多いということか。ここではアメリカのデータを用いているが、日本含め多くの国で同じ傾向であるらしい。またこのリンク先の後半ではKaplan仮説(1989)というのも紹介されている。これによると女性の自殺率が低いのは、社会は女性に他者との係りや結びつき、相互の交流を活性化させる役割を要求しているため、女性は自殺しようとする人を見捨てることができず、また自殺志願者も自分の死がいかに周囲に影響を与えるかということを気遣うためと考えられるとしている。
また、以下に見るように男性の自殺率は中高年世代に突出して増加しているという分析結果もある。
悲哀 中高年男性、自殺が急増(読売新聞 2001年11月27日)

1947年から49年に生まれた団塊の世代は、戦中世代に比べて、打たれ強いと言われてきた。戦後の自殺統計には、青年の自殺が目立った50年代、円高不況で町工場の経営者の自殺が急増した80年代の2つのピークがあるが、いずれも多数を占めたのは1925―40年の間に生まれた戦中世代。それが、1998年の年代別自殺率をみると、団塊の世代の自殺率は10万人当たり42人で、戦中世代を初めて上回った。特に、男性は60人台と、異常な高率になっている。

完全失業率の増加と、職場への評価主義の浸透によるストレスが自殺率上昇の原因とこの記事では分析している。ここまで見てくると、セーフネットとなる家族がなく、女性のような社会的結びつきも無い独居男性の自殺率が高いのもしかたないことなのかなと思えてくる。