「スウィングガールズ」2004年/日/105分

SWING GIRLS オリジナル・サウンドトラック
痛快!爽快!ついでにじわーっと心が温かくなる。こーゆーのには弱いなあ。監督の矢口史靖って「ウォーターボーイズ」の人と聞いて納得。“田舎の高校生たちがひょんな事から課外活動に熱中する”という構造は一緒だものね。ただし見終わった感触は結構違う。山形弁のせいなのか、出てくる女子(笑)の雑な仕草さの演技が妙に心に引っかかってザワザワする。演出の端々でも、気の利かない女性教師とか、軽音の人はコワモテとか(笑)、手作りのユニフォームとかイチイチツボを押される。また、演奏シーンは役者達が四か月の練習を経て実際に演奏しているそうで、本当に上手になっていくのが手にとるように感じられる。やっぱりここは本物の持つ重みか、ラストに向かってドンドン引き込まれてしまう。一方、携帯電話を一切出さないし、劇中にスポットライトをあてるキャラをバッサリ整理してるところなど、多少強引な部分も目立つ。しかしむしろ上手いなあと思ってしまった。もう、積極的に騙されていきたい!
映画を見た後に偶然購入した、新海誠のイラストが表紙の「Invitation」10月号19ページで、中森明夫が面白いことを言っていた。矢口監督には“原案力”がある、と。「ウォーターボーイズ」もそうだけど、アイディアは単純極まりない。そして今もテレビドラマで「ウォーターボーイズ2」を放送しているように、脚本やメディアや監督を変えて、商品足りうる作品のバリエーションを作るだけ、設定が力を持っている。同様の原案力を持つ作品の例として中森は「バトルロワイヤル」や「世界の中心で、愛をさけぶ」を挙げている。すっと腑に落ちるわけではないが、現象としてなるほどという気分はある。
まあ、ともかくアレだ。本仮屋ユイカ演じるトロンボーンの関口。メガネでスラッとしたスタイルで委員長キャラ。もうヤバイです。肺活量のある関口。横断歩道を渡りきれない関口。メガネを落として頼りなく駆け寄ってくる関口。嗚呼。自分の十代の頃の思い出とオーバーラップして、セカチューなんて比べ物にならないインパクト。今日は幸せに眠れそう……。アレゲな人に判りやすく説明するなら、西川魯介の描くキャラクターが肉体を得たのかと思いましたよ(田丸浩史でも可)。