暗いところで待ち合わせ

シアターキノで「暗いところで待ち合わせ」を見てきた。原作の乙一は既刊を全部読むくらいのファンなので、期待半分警戒半分で劇場へ。原作はほぼ一軒家の中でしか進行しない心理劇なのだけれど、映像化にあたってそのあたりは若干ふくらませてある。主人公の一人、アキヒロの職場が印刷会社というあたり、以前関連業界に身を置いていたのでなんともやるせない感じ。驚いたのは、原作小説を読んでいたにもかかわらず、トリックの肝心の部分をすっかり忘却していたこと。驚きを持って見ることができたのである意味ラッキーだったのかも……。
盲目の女性を演じた田中麗奈の役作りはさすがの一言。目が見えていないという難易度の高い演技をそつなくこなしていた。原作では比較的影の薄かったアキヒロは(いや、いかにして影を薄くするかという話なのだけれど)、中国系日本人という設定が付け加えられたせいでなんとも妙な存在感が出ていてちょっと違和感。チェン・ボーリンは格好いいんだけど、何ともくらーい役でファンの人はがっかりかも。もともとほぼしゃべらない役なのだけれど、口を開くとやっぱり日本語がヘン。総じて丁寧な作りで、盛り上がりには乏しいけれど鑑賞後の印象は良い。映画館で見てもいいけど、DVDでゆったり見るのもいいかもね。