「デイ・アフター・トゥモロー」2004年/米/124分

図書館へ行くついでに観てきた。もう通い慣れてきたワーナーマイカルシネマズ江別。併設のショッピングセンターのカードを作ると300円引きなのでこれもサクッと申込みしといた。でも無業者はクレジット機能の使えないカード。いいのさ、個人情報と引き換えに割引だけ受けられれば。以下感想。例によって若干のネタばれは含むけど、未見の人が読んじゃってもあまり関係ないかな。この映画については。

予告編でもテンコ盛りだったスペクタクル映像がとにかく凄い。マンハッタンを呑み尽す大津波の迫力はディープ・インパクト(1998)を完全に超えてる。冒頭に東京、千代田区とテロップの出る映像があって、説得力のまるでない映像はそこだけかも(笑)。インデペンデンス・ディ(1996)&ハリウッドゴジラ(1998)のエメリッヒ監督だけに、オタクが世界を救う的なくすぐりはそこかしこに。でも今回の敵は一万年に一度の自然災害。人間側が不利極まりない。というか今作では人類、もといアメリカ国民は救われません。ほぼ日本沈没(1973)状態。主人公の古気象学が専門のセンセイも、後半は息子を救うためだけに頑張る正統的ハリウッドマッチョな人物になってしまっていてちょっと残念だった。その代わり遥か高みの雲の視点や、宇宙ステーションから見た地球の様子が効果的に挟み込まれていて、真の主人公はあくまで大災害だということが印象づけられる。とにかくスケール感の巨大な映像が命の映画なので、よほど大画面のホームシアターを持っている人以外は映画館に足を運んだほうがいい。テレビで見ると価値が半減する映画の典型。メインの家族愛のストーリー展開は弱いのだけど、いくつかジーンとくる枝エピソードがあったのが良い。ゴジラでは怪しげなフランスの諜報員をジャン・レノが演じていて萎え萎えだったのを反省したか、今作の重要な外国人役のスコットランド人気象学者をイアン・ホルム*1が好演。こんな胆の据わった上司は理想だな〜。最期の時にシングルモルトで乾杯というのも泣かせる。あと、マンチェスター・ユナイテッドに乾杯! 氷に閉ざされたニューヨークから運び出せた文化物はグーテンベルクの四十二行聖書だけだったというエピソードも個人的にはツボに入った。聖書の是非は置いておいて、人類がやり直す局面に至って最古の印刷物より後の文明は役に立たなかったのだから。そんなわけでヒューマンドラマとしての出来や、ディザスター映画としての文明批判などを求める向きにはお勧めできません。エメリッヒとしてはこれでも頑張ったほうだ! そのかわりILMを筆頭としたSFXチームの映像は素晴らしいの一言。特に北海道北部で生まれ育った自分も納得の痛そうな寒さの表現は出色の出来。エンパイアステートビルが天辺から凍り付いていく映像なんてこれまで見たことがない。何も考えず寒さを体感していただきたい。

図書館に向かった正午頃に雨は上がっていたのだけれど、映画館に入った午後一時頃にはもう一雨来ていたらしい。道理で映画の冒頭二十分ほどはひどく眠かった。気圧がグッとさがると一緒に眠気を催すという体質はなんとかならないものか。映画を見終えたころにはパッチリ目も冴えていました。空はきれいな夕焼け。穏やかな気候というだけで幸せを感じるなあ。

*1:指輪物語ビルボ・バギンズ。もちろん今回はあそこまで背が低くない(w。