小説現代八月号

小説現代 2009年 08月号 [雑誌]

小説現代 2009年 08月号 [雑誌]

講談社の月刊文芸誌『小説現代』を初めて買ってみた。目当ては<特集 百年後の世界>。SF的な試みをしているとなれば読まずにいられない。参加作家も椎名誠山本弘川端裕人真藤順丈と興味を惹かれる顔ぶれ。以下簡単に感想。


椎名誠「青野浩の優雅でもなければ退屈でもないありふれた午後」
コミュニケーションの間接化・機械化が進んだ世界でのサラリーマン哀歌。いかにも椎名誠的なガジェットが楽しい。


山本弘「リトルガールふたたび」
国民が総トンデモ化してしまった日本を百年後の未来から振り返る。オチがブラックで笑える。


川端裕人「エイジア」
競作の中では一番正当派の作品。国家が学校と名を変えているという設定がユニーク。


真藤順丈「闇はぼくたちの窓」
この作者の作品を読むのは初めて。ストレートなネタなのだが、文章が緻密で上手い。


この四編を読めただけでも満足。雑誌をめくっていて気がついたのだが、第四回小説現代長編新人賞の発表もされていた。受賞作が抄録されているので、これもこのあと読んでみよう。