ポコペンは差別語だった!

モノグラフの自由帳経由。気になったので調べてみた。

え? 「チャンコロ」とか「シナポコペン」とかって何だって? どっちもシナ人の侮称、いや、シナ人なんて言うと差別語だって騒ぎに成るがな。中国人だ。中国には「張」と言う人が多かったので、「張」に「公」をつけて「張公」がなまって「チャンコロ」になったのだろう。当てにはならねえけどな。(笑声)
「シナポコペン」てのは何かと思って、この間調べてみた。「シナ」は勿論中国人、じゃ「ポコペン」てのは何かと思ったら、中国語のスラングで「駄目駄目。元(もと)が切れる」と言ったことらしい。
例えば、古道具屋で気に入った物を見つけて値段の交渉をする。
「この彫刻は幾らだ」
「三百元(げん)にサービスしますで。旦那。お買い得ですがね」
「三百元は高い。百二十元てとこだ。(笑声) サービスするってんなら、百元にしろよ」
ポコペン!!(笑声) 旦那。いくら何でも百二十元じゃ元が切れますで。それをまた百元にしろってんじゃ、首くくらなきゃなんねえ」
と言ったわけで、「元が切れる」から「どうしようもない」「かなわん、かなわん」の意になったんだろう。
だから、その頃に流行った戦意高揚漫画なんかには、日本兵に銃を突きつきられた敵兵が「ポコペンポコペン」と言いながら逃げて行くのなんかあった。
塗り潰し式諸街道徒歩旅行シナポコペンのページより

引用文の著者は退職された元中学校の数学教師の方とのこと。六十代以降の世代にとっては“シナポコペン”は差別語だというのは常識なのかな。語源まで知っているかどうかはともかくとして。でも「のらくろ」みたいな漫画で中国兵が「ポコペン」と言ってるのは、語感がかわいい気がしてしまう。
元リンクの物欲には屈する方針ですさんが言及している“ポコペン遊び”も気になる。本州地域ではメジャーなのだろうか。いわゆる“ドロケイ”遊びのこと。僕がこどもの頃、北海道ではこの遊びを“エッタ”と言っていた。ポコペン同様、鬼が子を捕まえる時に「エッタ」と言う。コレも調べてみるとおもしろい。

エッタ (ロシアзто)【獲った】
〔зто(エータ)は「これ」の意。「獲った」の表記はエッタを「獲る」[動]+「た」[助動]と見なした当て字。〕[名]する 鬼ごっこで,鬼が他の人を捕まえた(他の人に触れた)ときに発する言葉。ついた。〈まれ〉〔近年,エッタは「穢多(えた)」に誤認され使用が憚(はばか)られるむきもあるが,本来エッタには差別的意味はない。〕
北海道方言辞書

なんとロシア語の指示代名詞だった模様。北海道には満州北方領土からの引き上げ者も多いから、彼らがこどものころ地元のロシア人の子らと遊んだ時の言葉が伝わっているんでしょうね。