リターナー岡目八目

リターナー〈スタンダード・エディション〉 [DVD]
いまフジテレビ系で放送してる「Returner」を見てる。大好きな映画なんだけど、いまひとつストーリーの乗り切れないと常々思っていた。今回三度目に見てその理由がわかった。主人公達の動機付けがストーリーの途中でブレてしまっているのだ。
未来世界を滅亡の危機に陥れるエイリアンの最初の一人を、時間を先回りして倒すというのがこの映画の大筋(人類と敵を入れ替えた「ターミネーター」ですね)。ところが話の途中からこのダグラというエイリアンが実は基本的にはいいヤツで、不時着した仲間を返して欲しいだけだった、という展開になる。未来世界ではプレデターばりに凶悪で人類皆殺しをしているエイリアンが、コドモを一人返してもらっただけであっさり引き上げる。逆に自分達のミスで不時着してしまった仲間が一人死んでしまったくらいで惑星単位の侵略を仕掛けてくる。
このエイリアンの存在感の薄さが、未来世界から最後の希望として過去へやってくる主人公ミリの背負った運命をひどく薄っぺらなものにしてしまっている。代わりにミリの相棒となるミヤモトと不時着したエイリアンを付け狙うヤクザ者の溝口の闘争が挿入される。が、この関係は映画の構成には寄与しない。言ってみればインディ・ジョーンズで後ろから転がってくる大岩みたいなもので、ただの障害物となってしまっている。
単純にダグラは悪者ということにしておいて、最初の不時着エイリアンを倒しても母艦はやっぱり近くにきてて絶体絶命というほうが、主人公達の背負う問題がひろがって良い。その上で、たとえば地球侵略の嚆矢となった隕石の墜落などを設定する。主人公達はその隕石落下のエネルギーをタイムゲートを開くために用い、隕石もろともエイリアンの船団を超未来へ飛ばして一件落着、とかね*1。まあ今度は「インデペンデンス・デイ」+「バック・トゥ・ザ・フューチャー」じゃん、と言われればそれまでですが。というか邦画でちゃんとプログラム・ピクチャーとして成立していること自体、奇跡的だものなあ(アニメ除く)。

*1:赤色巨星と化した太陽に飲み込まれるエイリアンの船団!