「下妻物語」2004年/日/102分

おもしろかった! ちょっと感動もした! いい映画でした。大好きです。こんなことなら映画サービスデーまで待たずに封切りすぐに観に行けばよかった。そしたら絶対二度は見に行ってたよ。てゆーか来週もう一度札幌行く用事あったら時間作って見に行ってしまいそう。映画の舞台になっている下妻は茨城県の中でも結構内陸のほう。つくば市の北西部と隣り合っているあたり。今年の一月に牛久市の先輩のご実家に泊めてもらって、あの辺の雰囲気はつかめていたので映画にも入りやすかった。下妻と牛久はつくばを挟んで正反対の位置にあるので実はかなり遠い。牛久から取手まではほんの少しで着くけど、下妻から取手までは一時間はかかる。劇中で深田恭子が下妻の家から牛久大仏まで原チャリで爆走してたけど、あれって結構走ってるはず。まあお話のなかのことですが。
全体に濃ゆい出演者の演技が世界観にハマってて、もう快楽中枢を刺激しまくられたのですが、中でもショックだったのが母親役の篠原涼子。こんな演技できたのかと目ウロコ物の色気とテンション。塚本晋也の映画だってこなせるよ! 東京パフォーマンスドールとかストII映画の主題歌(with t.komuro)のイメージがいまだあった僕はクラクラきました。♪いーとしーさとーせーつなーさとー。樹木希林のアイパッチもツボに入りまくり。彼女が左眼失明をカミングアウトしたのは今年に入ってからのはずだから、この映画の撮影を行ってた去年の夏の時点でのこのアイパッチは確信犯。スタッフには打ち明けていたんだろーか。願わくば今後もアイパッチで役者を続けてくれないものか(笑)。いやもう女ハーロックですよ……。
監督の中島哲也は広告畑の人だそうで、豊川悦司山崎努が登場するサッポロ黒ラベルのCMなどを手がけたとか。なるほどCGの使い方がメチャ上手い。無地の白いエプロンドレスにみるみるうちに刺繍が施されていく映像なんて、これコマ撮りの刺繍アニメで作ってたら大変だろうな……とか妙な感心のしかたをしてしまった。CGってのは凄いねえ。こーゆー一見なんでもないけどヘンなインパクトのあるCGの使い方は「アメリ」みたいだな。宇宙に浮かぶ地球のカットから強引にズームアップして関西は尼崎のおっさんの頭まで寄って映すとこも地味に笑った。人工衛星カメラ視線をおっさんの「なにメンチ切っとんのや! コラ!」というツッコミでオトすという使い方はバカバカしくて……すごい。あれだ、「AKIRA」で照準あわせられたSOL(衛星軌道レーザー兵器)にガンをとばす鉄雄ですな。
午後すぐの回の映画館内は中年女性のグループ客がほとんど。この次の上映からカップルや学生グループが増えるんじゃなかろーかという雰囲気。シーンの端々で館内から笑いが起こり、終始なごやかな良い雰囲気でした。水野晴郎カメオ出演してるとこでもちゃんと客が笑ってるのが凄い。閣下が着てるシベ超Tシャツの意味なんて判るわけない客層なのに(笑)。あと観客にちゃんとロリータファッションの女の子がいたのもポイント高し。でも、どうしてもあのヒラヒラの服は日本人が着ると寸胴なのを目立たせるね。やっぱ長い足のスタイルに加えて、腰をコルセットで締めないと似合わない服装だと思うのだが。深田恭子ですら絵的に厳しかったもの。その点、土屋アンナがエンディング間際でちらっと着てたロリータ姿は似合ってた。さすがはハーフのモデル出身。映画を観終わってからパンフを買って気づいたことがもう一つ。音楽、菅野よう子だったのか! そうか、言われてみれば彼女は黒ラベルのCM音楽なんかも手がけてるし、監督の中島哲也とはタッグを組んで久しいんだ。アニメのサントラや自分のプロデュース作品なんかで聞かせる菅野節はあまり感じられず、今回は劇伴に徹したという感じ。クラシック調からヤクザ映画風まで楽曲の引出しの広さ奥深さは彼女ならでは。これはCDも手に入れないと。