「イーオン・フラックス」 2005年/米/93分

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能天気なSFアクションかと思ったら、さにあらず。意外にストーリーは重い。そんで自分としてはおもしろかった!「マトリックス」や押井守作品が好きな人ならお勧め*1。これはSF話の出来る友人と連れ立って観にいくべき映画だったな。
主演のシャーリーズ・セロン目当てで観にいったのだけれど、それ以上に世界観を形作る映像そのものが素晴らしい。400年後の閉鎖的な管理社会を、イタリア未来派バウハウスを思わせる建築デザインが支えている。そこに垣間見える和風の意匠はなんなんだろうと思っていたら、エンドテロップで納得。ディレクターは日系女性監督のカリン・クサマ(ガールファイトの監督)だったのか。
ビジュアルに語らせるSF映画としての完成度は「ザ・セル」や「ガタカ」に一歩(いや二、三歩か)譲るけど、下手にアタマを使わない娯楽作としては、むしろこっちが好み。アメコミが原作だけにキャラクターもそこそこ立っているしね。もっとも、この尺数では表現し切れていない部分にもどかしさは残る。サブキャラの背景についての描写を加えた、ディレクターズカット版が出たら必ず買う。公開直後のいまの時点では、ストーリーの下手な謎解きは野暮になるからやめておきたい。でも、主人公の名前AEON(イーオン)*2ラテン語で「永遠」を意味するということを知っておくと、この映画の意外な深さの一端を感じられるかもしれない。

*1:というか、そーゆーバイアスがかかった上で見ないと、結構酷評されるタイプの映画かも知れない。

*2:大手スーパーや英会話学校と同じ綴りだけど。