飛ぶ首

まさか昨日のエントリーで用いた「飛頭蛮」という単語がはてなキーワード化されているとは思わなかった。マニアック。飛頭蛮は中国の妖怪だけど、首がにゅうと伸びる日本の轆轤首(ろくろっくび)とは類縁関係にあるらしい。そのものズバリの抜け首という妖怪も日本に居る。これらのルーツはもともとは東南アジアの精霊や吸血鬼にある。ピーとかペナンガランと呼ばれるこうした妖怪は首の下に血を滴らせた内臓の切れ端をぶら下げているというから、見た目のインパクトだけで気絶しそう。飛頭蛮轆轤首はすでに書物やお話の中の世界の妖怪だけど、東南アジア各地ではいまなお民間信仰として息づいているらしい。
南米にも「チョン・チョン」という首だけの妖怪がいる。おもしろいのはコイツは大きな耳を羽ばたかせて蝶のように飛ぶのだそうだ。ダンボみたいな話ではある。飛頭蛮も耳を羽ばたかせて飛ぶという説もある。ただし飛頭蛮の場合は夜のみ飛び回って昼は元の胴体に戻る。チョン・チョンは首だけで完結した妖怪であるらしい。
西洋でこうした妖怪に近いものはあまり見当たらない。スコットランドの首無し騎士「デュラハン」が一番イメージが近いかな。彼は自分の首を小脇に抱え、首無し馬に乗って死の運命にある者に「死の宣告」を告げに回る。数年前ティム・バートンが「スリーピー・ホロウ」というタイトルで映画化したからこれが一番有名かもしれない。領主の娘役のクリスティーナ・リッチが可愛いのですよ。
妖怪ではなく実在の人物だと、平将門は京都参上河原でさらし首になったにもかかわらず、怨念だけで武蔵国の柴崎まで飛んできたと伝説にある。今でも大手町のオフィス街に「平将門首塚」として祭られている。一度訪ねたことがあるが、確かに高層ビルの只中にあって、一種ひんやりとした気配の漂う一角だった。そんなわけで一番ガッツのあった飛ぶ首は将門で決まり!
心霊スポット探索レポート 平将門首塚