「ハイブリッド・アーマー」 中島 望 ハルキノベルス ISBN:4758420327
第10回メフィスト賞を受賞しデビューとある。今までこの人の名前は知らなかった。書き下ろしのこの本、非常に軽く読める文章、ノベルスにしても薄いページ数。硬派空手高校生が超人的なパワーを身に付けるというあたり、往年の(精神世界に逝ってしまう前の)平井和正のテイストを思わせる。人間と昆虫のハイブリッド=ミュータントが話の核になっており、よくよく考えると昨日読んだ「HUNTER×HUNTER 19巻」とネタがかぶっている。期せずして一緒に買ってしまっていたわけだが。少年が人間以上の力を手に入れて……という話なのだから、追い詰められて、肉親に限らず周囲の者を残虐に殺されて、死の瀬戸際に起死回生の一発逆転! なんていうカタルシスを求めてしまうのですが、主人公がはなっから半端無く強い(笑)。ミュータント対ミュータントという構図も、もっと苦悩させてネチネチ書いてもいいはずなのに、単にムカツクから倒すみたいなサッパリした描写でいっそすがすがしい。伝奇SFというよりも青春ノワール小説として読むべきなのかも。退屈はしませんでした。商品価値は高い。(19:30)