ヒプノセラピー体験記

六月一日にかねてより興味のあったヒプノセラピーを受けてきました。それから三日たって、ようやく感想をまとめています。というのもヒプノセラピーを受けてから二晩と一日、昏々と眠っていたからです。セッションのあと体調に変化が出る場合があるとは聞いていましたが、まさかこれほどとは思いませんでした。また、横になっている間も目覚めるたびに頭痛と頭が痺れた感覚が抜けず、これは危ないかもと思っていたのですが、今は完全に復調しています。


■きっかけ
きっかけはid:koikeakiraさんの四月二十日の記事です。
http://d.hatena.ne.jp/koikeakira/20050420
その後mixiの中などでもお話をうかがい、これはぼくにもいい影響を与えてくれるのではないかと感じました。もともとぼくは小学生のころから学研の「ムー」を定期購読するようなこどもでオカルトマニアでした。もちろんオカルトもピンキリで、というか大量のガラクタの中に稀に金貨が落ちているような世界ですが、知識として知るだけではなく体験も必要だと思っていたところだったのです。


■意外と身近に
インターネットで[ヒプノセラピー & 札幌]と検索をかけると、思ったよりも沢山のセラピーが開業していることに驚きます。その中からセラピストの方の来歴がきちんと載っていて、料金やセラピーの主旨がしっかり説明されているところを選びました*1
札幌市内のとあるマンションの一室。扉に小さく看板がでているだけのセッションルームです。チャネラーの妹と、セラピストの姉が二人でセッションを担当するという、独特のセッション方法も興味を覚えた由縁です。


■事前説明
あらかじめ書式にのっとって書いておいた質問事項の用紙を渡し、妹さんの方からセッションの流れの説明を受けます。今回ぼくは初心者向けのコースとして、ヒーリング・ヒプノセラピーチャネリングの三つを順に行うトータルセッションを希望しました。
話をはじめる前にぼくが小用を足していると姉妹の笑いあう声が聞こえます。ハテナと思いつつ会話に入りました。


■まずは会話から
セッションに入る前に一時間近くお二人と会話をしました。開口一番セラピストの姉曰く。あなたの悩みは逐一相談する必要は無いと(笑)。 ぼくが書いた悩みは二点。現在のうつ病の苦しさと、十代のころからぼくを突き動かしている「何かを表現したい」という焦り。ところがこの悩みは、ぼくに関して言えば本質ではないそうです。むしろ順調に魂が成長している証だと。いきなり猫だましを食らわされたような気分です。
いまの鬱も焦りも、自分の運命に気づくための産みの苦しみのようなものだということです。部屋に入ってきた瞬間にそういう雰囲気をまとっていることが姉妹にはわかったそうです。チャネラーの妹さんに言わせると、ぼくの目は光が強く浄化の力を備えているとか。いまの人生で十分魂を磨くことができれば転生が終わるレベルだとも言われました。ほんまかいな(笑)。
また人類の幸せの価値観が数年前からシフトし始め、十年くらいでがらっと変わるというようなお話も聞きました。物質的な幸福から精神的な幸福へ。このあたりは新新宗教などでもよく語られるような話なのであまり感心しませんでした。ここはスルー。
お姉さんと会話をしている最中に妹さんがぼくの周囲で空中を払うような仕草を繰り返していました。これがヒーリングとの事です。


ヒプノセラピー
さて本日のメイン、ヒプノセラピーです。隣室のベッドに仰向けに横たわり、目隠しをされた状態でセラピストの声にしたがっていきます。
まず十数えながらゆっくりと呼気を吐き出す深呼吸をします。光量の調節やBGM、セラピスト語り口調などにノウハウがあるのでしょう。すぐにリラックスできました。呼吸を普通に戻し、今度は全身の力を抜いていく暗示がかけられます。「体の各部ごとにスイッチが付いていて、それをパチンパチンと切っていく」ようにイメージするよう指示されます。これはなかなか面白い暗示で、簡単に体の感覚を無くすことができました。力が抜けるというより、動かせなくなるという感じです。
続いて次のような暗示を受けました。「あなたは心地よい場所にいます。そこで地下に向かう階段を見つけます。そこをどんどん下っていきます。底についたら扉があります。そこを開けて入ってください」このあたりではまだなかなかイメージがわきません。イメージを考えるというより、胸の上に思い浮かべるといった感じが良さそうです。これまでに見た映画のイメージなどを借りながら*2、なんとかたどり着きます。


■退行催眠へ
扉を開けて最初に見えたのは白くてもやもやとした世界でした。まだ退行催眠に入りきっていないようです。そこからさらに扉を探すように暗示をかけられます。一面の雲の中をさまよい、足下にマンホールのような扉を見つけました。そこをくぐると一面の星空が見えました。一瞬の浮遊感のあと地面に着くイメージ。上空から地上へゆっくりと降りていきます。そこは冷え冷えとした荒野で、一人の男がうなだれて立っていました。
この「見える」という感覚ですが、たまに見るリアルな夢とは違いビジュアルとしてははっきりしていません。むしろイメージが想起されるという感じです。小説を書いているとき、インスピレーションと共に情景が「見える」ことがあるのですが、それと非常に近い感覚でした。


■これが前世?
ヒプノではいまの鬱状態と密接に関係していると思われる、自殺者の男の人生を見ることができました。舞台は一九三〇年代のアメリカのようです。先祖伝来の聖地を売り渡してしまったことを悔いて、四十代で荒野の岩場に身を投げた人物のようです。とにかく頑なに心を閉ざしていて、彼自身については苦悶の表情しか浮かばない状態でした。状況から考えるにネイティブアメリカンだと思うのですが……。
家族の姿も見ることができました。男は土地を失ったことに関して母に対して申し訳ないという気持ちを持っています。母は逆光でシルエットしか見えないのですが明らかに有色人種でした。まだ若く、黒く濡れたような瞳が印象的でした。逆に娘は白い光に包まれている印象で、透き通った目だけが見えました。まだ嬰児です。この目は今生で見ていないと思います。自分に比してとても神々しい魂を持つものと娘を感じました。
具体的な妻の姿は見ることができませんでした。父も同様です。ただ父に関しては現実の親族の誰かと似た印象を受けました。すでに今生で会っている人もいれば、会っていない人もあるようです。
その後、自分が上空へ戻るのと一緒に前世の「彼」を一緒に引き上げようとしましたが、なかなか上がってくれません。一面が青い空のような空間まで連れてくるので精一杯でした。まずは彼と対話をして苦しみにとらわれている状態から開放してあげることが、今後の課題のようです。


■セッション後
ひどく喉が渇き、咳が出ました。頭がボーっとするのはよくあることのようです。それと肩と太ももがこわばっているのを感じました。冒頭にも書きましたが、セッションを受けた後、ぼくは二晩と一日ほとんど寝込んでいました。好転反応と言って、体調に影響がでることは多いようです。


■魂の癖
ぼくは多分に苦行が魂を磨くと考えているところがあります。今回のセッションも数日に渡る節食の上で臨んだほどでした。その節食の話題を出す前に、苦しい行いから何かを得ようとしてきたのがぼくの魂の癖だと断言されました。そうしたことを過去生で繰り返しているようです。霊的なシフトチェンジに向けて、準備をしているのだとも。今生では苦行ばかりでなく、美しいもの楽しいものから魂を浄化する道に入るとのことです。このあたりはまだ実感が湧きませんが……。
チャネリングのほうでは、いわゆる守護霊という存在からのメッセージをいただいたのですが、こちらは今ひとつピンと来ませんでした。要はこれまでの会話の中で出てきた話とそう違わない方向で進めということのようです。ちなみにぼくの魂の名前は「タイカ」というそうです。


■振り返って
セッションの間は緊張していたこともあり、不自然さを感じることもありませんでしたが、考えてみれば今回の結果はこれまでぼくが漠然と「こうなのではないかな」と思っていたことをいきなり他人の口から肯定されたようなものでした。
少なくともこうした過去生の存在を信じ、その体験の手ほどきをする人たちが身近に実在するという経験は今後のぼくの考え方を変えたはずです。
今回のセッション内容についてはちょっと出来すぎている感があり、セラピーさんのリップサービスもあったのかなと思わないでもありません。
今後、別のセッションを受けるなり、自己催眠を行うなりしてさらに経験を積んでいく必要があるでしょう。

*1:了解が得られたら、あとで今回受けたセラピーのページへリンクを張るかもしれません

*2:ヤン・シュヴァイクマイエルの映像は良いイメージソースになりました。