『愛犬擁護週間』 東京三世社 ほりほねさいぞう ISBN:4812611733
掘骨砕三のほりほねさいぞう名義での新刊。犬や鶏、羊などの家畜をモチーフとしているが絵の上では動物は出てこないと言う趣向の成人向け漫画。ぼくの小学生のころの同級生には、養豚業や酪農を家業とする家の子が多かった。ある小さな村にいたとき、小学校の給食の残りを近所の養豚農家まで運んでいくのが日課だった。残飯を豚の餌とするのである。ただしカレーだけは豚の体調を崩すのでやらないなどと言うこともあった。
そんなわけでぼくは比較的家畜に対しては身近な環境で育った。掘骨砕三の描く擬人化された家畜にも、実際の家畜の姿を知る者の意識がきちんと織り込まれており地に足が着いた読後感を与える。現実のソドミズムに生理的嫌悪感を感じる向きにはもちろん勧めないが、ファンタジーとしては良質な作品である。
