特別な場所

胃が荒れてるから、何を食べても気持ち悪い。舌の快感と嘔吐感は共存する。でもおかげで、重い胃を抱えて札幌駅地下街を歩いているときに、書いてる話の展開を授かったので良しとする。昔はステーションデパート*1というそのまんまな名前で呼ばれていたこの地下街だが、五年ほど前にすっかり改装されAPIAと名前も変更した。JRから地下鉄南北線へ抜けるにはここの「セントラルアベニュー」*2という通路を通るのが便利。しかし十代のころの僕はここへ近づくと決まって体調を崩していた。通路の中ほどまで差し掛かると耳鳴りと眩暈がひどくなるのだ。ひどく現実感が薄くなり、周囲の人が景色のように見えてくる。僕は高校入学と一緒に北海道の田舎から札幌に出てきたから、人の沢山いるところに慣れていなかったということもあるのだろう。東京で八年生活して人ゴミにも慣れた今、気分が悪くなることはさすがにない(それでも札幌に帰ってきてはじめてここを通るときには少し緊張した)。今日着想を得たのもこの通路の中ほどだった。少々オカルトめくが、なにか僕の波長に合う特別な流れがここにはあるのかもしれない。

*1:そういや「○ス」(まるす)という愛称で呼ばれてたな。「○ス ステーションデパート」っていう、妙に落ち着いた女性の声のナレーションが入ったCMが頭から離れないよ。

*2:APIAの地図:http://www.jsd.ne.jp/APIA/profile/index.html