正しいことと普通なこと

結婚式の当日。式の前に新婦の友人が歩み寄ってきて以前貸した10円を返してくれと云われた、という話を聞いた。この友人氏(女性であった)は非常識な人間だが、正しい事を臆面もなくやってのける正義の人でもある。彼女に憤慨し友達の縁を切ると言う新婦は常識を持ち合わせた普通の感覚を持った人間だが、間違った行いを責められるべきは、本当は新婦のほうである。しかし、ここで新郎が友人氏のほうが正しいなどと口走ると新婦は大いに気分を害するだろう。愛すべき、尊ぶべきはごく普通のバランス感覚を持った新婦のほうなのだから。正しい事を正しいと知ることは大事だが、それを成すことと、さらにそれに賛同することを混同すると危険である。……というようなことを考え、自分には難しいことだなと思った。(10:40)