ミヨリの森小田ひで次 秋田書店 ISBN:4253104665
年末に購入してざっと眺めていたんだけど、じっくり読み返した。両親の不仲で父方の祖父母の田舎に預けられることになったミヨリ。そうか、身寄りに預けられるからミヨリか! 都会育ちの小学6年生が、田舎生活とのギャップの中でじょじょに心身のこわばりが解けていく様が心地よい。小田ひで次の緻密でリアルな絵柄と森の精霊たちの奇妙ですっとぼけたデザインが、日本の田舎暮らしをファンタジーに満ちたものに変容させている。家族とのつながりを絶たれた子どもが、精霊との関わりの中で成長するという構造は「となりのトトロ」と通じるものがあるが、僕の読後感は「ゆめのかよいじ」(大野安之 少年画報社 ISBN:4785910860)に近い。精霊との関わりの中で主人公も環境も変化していくというベクトルが似ているからかもしれない。