朝起きて

変にリアルな「超駄作SF映画のロケ地」を取材に行く夢を見た。場所は網走。そこでシュワルツェネッガーの息子扮するサイボーグ海兵隊員が、日本政府に追われている狂科学者の作った水陸両用美少女アンドロイドを助けるという話だ。彼女に扮するのは母親が白人の二世タレント。
 あらすじだけだと一見面白そうだが、気合いが入っているのは特技監督が撮った海兵隊サイボーグが全身ハイテク装備のロシア兵と一騎無双する冒頭数分だけで、あとは総監督の趣味丸出しの網走温泉地巡りのお色気路線になる。シュワちゃん二世はギャラの都合でもう出てこない。
 その顛末を30歳独身女性ライターである「自分」が取材に行くのだが、民泊で投宿したマンションが、各戸でいかがわしくも耽美なモノを売る九龍砦さながらの魔窟になっていた。ここからは世界観そのものが変容してきて、映画の中さながらのサイバーパンクSFじみた展開になる。
 映画のレポートよりもこのマンションを記事にした方が売れると直感した「自分」は、この仕事を期間契約している会社に交渉するが反応は薄い。それで直接親会社にネタを売り込む。というところまで見て、ケータイのLINE着信音で目が覚めた。
 どうもこの先、夢の中の「自分」はこの魔窟の超科学や魔術じみたものを自ら体験取材し、人間である事を辞めるといったストーリー展開になる様子だった。これ、下手に整理しないでそのまま書けば、奇想SFとして成り立ちそうだと思ったという話。