今日は一日、ヒマを見つけては『Wizardry ~生命の楔~』をプレイしていた。Amazon.co.jp限定販売のDS用ゲームソフト。通販専門な上に、事前の売り文句が「古き良きWizardryへの回帰」だったので、内容に期待して購入したオールドファンも多かったようだ。もちろん、僕もその一人。現にアマゾンでは初回生産分は売り切れで、次の入荷は12月4日となっている。
キャラクターの平均レベルが11、地下4Fまで到達したところで簡単な評価をくだしたい。まず伝統を重んじた昔ながらのWizardryを期待すると、それは半分は叶えられないことになる。はじめから用意されているキャラクターの物語を追うことが強制され、手取り足取り過剰なまでのチュートリアルを消化しなくてはならない。主人公の盗賊のキャラクター以外は新規に作成したキャラクターに入れ替えることも可能だが、それでも用意されたキャラクターのイベントは飛ばすことができない。恐ろしいことに主人公のパーティーからはずしても、その後ろに“勝手についてきている”という設定のようだ。こんなこじつけをするくらいなら、完全に出来合のキャラクターしか使えなくしてしまえばいいのに……。Wizardryの、あのとことん不親切でドライな、でも自由度の高いシステムを期待している向きには、この出来合のキャラクターは感情移入の最大の障害だろう。ただ、ここをあきらめて用意されたストーリーを受け入れてしまえば、結構ゲームとしては楽しめることがわかる。
このゲームの良い点を以下に列挙する。
- アイテムを求めてダンジョンに潜るという根本の楽しさがしっかり具現されている。
- 登場モンスターのラインナップはなじみ深い顔ぶれで安心できる。
- ダンジョンマップの練り込まれた設計が探索を飽きさせない。
- 魔法やスキルを購入するというシステムが、得られるゴールドの価値を高めている。
- モンスターのグラフィックが美麗で雰囲気がある。
- リアルタイムのアクション性のあるトラップはなかなか新鮮(これは馴染めない人も多そうだけど)。
逆にもうちょっとがんばって欲しいのは以下の点。
- 戦闘中の確認待ちが多く、とにかくAボタン連打になる。
- 玄室の扉を開けるとモンスターが登場するという伝統が踏襲されていない。
- リアルタイムセーブではなくて街の宿屋でのセーブというのは危機感に欠ける(どこでも中断セーブができるというぬるい作りになっていないのは評価できるが)。
ほかにも、ロウフル、ニュートラル、カオティックのアライメントがなくなっているとか、魔法のスペルがトゥルーワード(カティノとかティルトウェイトとか)じゃないとか、戦闘のゲームバランスがぬるいとか色々あるけどこの辺は些末なことかな。今風のWizardryとしてしっかりと作り込まれている感じは伝わるので、決して手抜き開発のゲームではないと思う。このさき進めてやり込み要素がどのくらいあるかにもよるけどね。できれば、用意されたキャラクターで一度クリアしたら、そのあとは新規作成のキャラクターで好きなだけプレイできるような作りになっているといいな。
新しいWizardryの伝説を作り出せるほどの震えは感じないけど、ウィズフリークなら一度は遊んでみてもいいんじゃないかな。