麺と海辺と秋の休日

今日はH氏にクルマを出してもらい、公共交通機関ではなかなか訪れづらい店に行ってきた。昼飯に蕎麦とラーメンを続けて食べるという無謀な計画。まずは北区の蕎麦屋へ。「板そば なみ喜」というお店。注文は「とり天板そば」。この店の名物、とり天と板そばの両方を味わう算段だ。まだ十二時前なのに混み合う店内。しかし、客席のレイアウトがゆったりしているおかげで窮屈感はない。普通の蕎麦屋よりは若干長めの待ち時間で蕎麦到着。
まずはとり天を一口。サクッとした衣は天ぷらというよりフリッターに近い食感。くさみのない胸肉がジューシーで旨い。天つゆもしっかりダシが出ていて絶妙なマッチング。これが四枚にピーマンとまいたけの天ぷらもついて、蕎麦にプラス二百円で食べられるのは非常にお得だ。続いて板そば。黒くて太い田舎蕎麦。北海道産の蕎麦を十割で使っているとのこと。板そばというのは山形の方でセイロのかわりに板に盛って蕎麦を出すことからその名があるらしい。見た目から新潟のへぎそばを彷彿とさせる。食べてみると蕎麦の香りが強い。濃いめのそばつゆにも負けていない。盛りもいいので、わしわしと噛みしめて食べる楽しさがある。途中で出されたそば湯もこの店は一味違う。どうやら十割蕎麦を使ってわざわざそば湯を作っているらしい。濃厚な蕎麦の香りとトロッとした口当たりが格別。つゆを全部割って飲んでしまった。味もいいし、雰囲気も悪くない。このお店はオススメ。

続いては西区へ移動しラーメンを食べることに。お腹は腹八分というところ。まだまだいける。お店は「櫻島」というところ。昼時ということもあって、女性客二人がすでに並んでいた。それほど待たされることもなく店内へ通される。カウンターが八席くらいに、テーブル席が三つのこぢんまりとした店内。店名のついた櫻島ラーメンを注文。
ほどなくラーメンが出される。とにかく見た目のインパクトが凄い。大ぶりのチャーシュー二枚に角煮が一つ。それに煮玉子に高菜と葱のトッピング。具をかきわけてようやく麺が見えるという状態だ。「櫻島」という店名からも連想されるように、この店のラーメンは札幌では珍しい鹿児島ラーメン。豚骨ベースのスープに細麺がよくからむ。どうも魚介系のスープも加えているらしく、トンコツ臭さがなくあっさりしている。見た目もやや透き通っている。
チャーシューは暑さ十ミリはあろうかというものが二枚。片方は炙ってあり、焼き目が香ばしい。個人的にヒットだったのが角煮。トロトロの食感で旨味が凝縮されている。普段なら苦手の脂身もおいしく食べられた。これはスープとの相乗効果があったのかもしれない。高菜のアクセントも効いていて、麺もおいしく食べられた。ラーメンとしてもちろんおいしかったが、この店のアピールポイントはなんといっても肉。今度は角煮がのったカレーも食べてみたいなあ。

これで食い道楽の道行きはひとまず終了。食べてばかりでもなんなので、腹ごなしに海まで出かけました。小樽もいいのだけど、砂浜がよかろうと石狩浜まで。三十男二人で波とたわむれてきましたよ……。そんなわけで、楽しい休日を過ごしたのでした。