「奇談」 2005年/日/84分

意外と楽しめた。原作漫画「生命の木」は短編なので、映画での追加要素が悪さをしなければよいがと思い心配していた。結論としては追加要素は毒にも薬にもならない出来だったおかげで、結果原作の映像化シーンが際立つようになっていた。阿部寛扮する稗田礼二郎は総髪じゃない点を除けばハマり役。いまさら沢田研二にやらせるわけにもいかんだろうしね(→ヒルコ 妖怪ハンター)。追加要素のヒロイン役を演じた藤澤恵麻は、相変わらず演技は下手だが妙な存在感が諸星大二郎の世界にマッチしていた(瓜子姫の役とか似合いそう)。劇中で“けるびんの骨”が出てこなかったのは残念だったけど、原作の他の要素の再現度は原作ファンにも納得の出来。“善ず”の名台詞「おらといっしょに ぱらいそさ いくだ!!」は一聴の価値あり。なぜか善ず役の俳優ではなくて三ツ矢雄二が声をアテていてエンドロールで笑った。クライマックスの生命の木の光芒は圧巻。でもパッと見エヴァンゲリオンだ!と思ってしまうのは映像の記憶として仕方ないところ。エヴァの使途の爆発シーンを見ながら「生命の木」を思い起こしていた人も多かろうが……。
ところでタイトルは原作どおり「生命の木」のほうがインパクトがあって良かったのに。「じゆすへる」でも可。