カレー脳とドンブリ

hissa2005-10-24

先日実家に帰った時に、揚げ置きしたトンカツをもらってきた。今日の一食目はこれを使ってカツ丼にしよう……と玉葱を出してきて、おもむろに微塵切りにしてしまった。薄切りでいいのに、玉葱を見た条件反射でついついインドカレー調理の手順が再生されたらしい。昨晩はバイトのミスも多かったし、疲れているのかもしれない。
ところでぼくはカツ丼が好きだ。蕎麦屋で食べる三葉の入った卵とじ風のもいいし、トンカツ専門店の堂々としたカツ丼もいい。通常は玉葱を入れるものだが、店によってはこれが長葱だったり、そもそもネギが入らずカツを玉子でとじただけのところもある(ネギ無しなら日本橋、勝漫の大カツ丼は超お勧め。1600円と高いけど)。
玉子でとじる丼物の多くは、玉葱の甘さで食べさせる。なので、こうしたネギ抜きの丼物は素材や調理の質がシビアに問われることになる。カツ丼の専門店というのはあまり聞かないが(味噌カツ丼除く)、玉葱を使うことの少ない親子丼には老舗の専門店が多いのもこうした事情だろう。親子丼のルーツといわれる人形町玉ひでの親子丼も、具材は玉子と鶏肉だけだった。
結局ぼくは甘いカツ丼も辛いカツ丼も好きなのだが、自分で作る時はやはり玉葱を入れることが多い。ことに作り置きして冷たくなってから食べる、くたくたになった玉葱はなぜあんなに旨いのだろうかと思う。一方、最近は真逆の方向性のレシピも開発している。玉葱を入れない仮称「生姜カツ丼」だ。微塵切りにした生姜を炒めて割り下にカツを浸し、玉子でとじる。ポイントは玉子にコショウを多めに振ることと、割り下のみりんを控えて甘くしないことである。出汁と醤油の割り下の替わりに、インスタントの鶏ガラスープを使っても旨かった。おそらく生姜の替わりにニンニクを使って、ブイヨンで煮ても旨かろうと思う。想像力を形にして文字通り味わうという点で、料理に勝る表現法はなかなか無い。