こんな時間になったがなんとか起きだした。また半日以上床から動けなかった。寝疲れて眠い。明け方からずっと続けて夢を見た。僕はとある映像制作会社の新人社員である。昼過ぎに撮影を撤収し、兄貴分の同僚とともにクルマでスタジオまで帰るところである。これから編集作業があるのだ。しかし、その日の女性出演者に請われて、家まで送ることとなった。着いてみるとそこは大きな病院のような建物である。地上十階はあるその建物は、全室がアパートになっている。しかも中に入ってみるとドアは大方が開け放たれており、ギャラリーに改造されていたり、カフェが開業していたりやりたい放題。奇抜な格好をした若者達が廊下をどやどやと行き交っており、まるで学園祭のような熱気に包まれている。「ここでいいわ」と女性出演者は艶然と微笑みある部屋へと去っていった。覗いてみるとそこは綺麗に掃かれた畳と神棚がある“だけ”の部屋で、たたきには賽銭箱が置かれてあった。女性の姿はすでに無く化かされたような気がしたが、それでもなんとか僕と同僚はその怪アパートを出て会社へ向かうのだった。助手席で夕闇に沈むアパートを振り返ると、不夜城のように窓には明かりがともりはじめている。