「銃姫 (1)」MF文庫 高殿円 ISBN:4840110700

銃姫〈1〉Gun Princess The Majesty (MF文庫J)
バイトへの行き帰りに電車と地下鉄の中で読む。この手の軽い本は通勤時間が長いほどよく読める。スチームパンク風の世界を背景に、魔法を銃に込めて使役する魔銃師(クロンゼーダー)の少年少女たちが活躍する。以上あらすじ。
話の内容よりも驚いたのが作品の語り口、発想、構成。なんというかことごとく僕の好み。もっと言ってしまえば、どうして作者がこういうストーリー展開をするのか、なぜこのシーンでこの語句を使うのか。そうしたこまごまとしたことがいちいち腑に落ちるのだ。この作者、高殿氏と僕は、小説書きとしての感性を非常に近いところに置いているような気がする(プロの方相手にこんなことを書くのはとても気が引けますが)。文章が上手い、真似したいと思う作家は数いれど、言語センスに違和感が無くてするりと読めすぎる、という経験も珍しい。これが相性が良いということなのだろうか。てなわけでこの作者のホームグラウンド、ボーイズラブ系のレーベルの作品も購入してみた。「そのとき翼は舞い降りた」(角川ビーンズ文庫*1 ISBN:4044450080)がそれ。冒頭五十ページほどを読んでみたが……しっかり作りこまれたファンタジー風の背景世界と、いたって現代的なキャラクターのギャップが楽しい。機嫌良く手にして読める。想定読者の年齢が若干下がっているということもあるだろうけど、リーダビリティはさらに高い。これは……ちょっと研究しながら読もう。

*1:追記:はてなのキーワードによると角川ビーンズ文庫は少女向けライトノベルであって非ボーイズラブレーベルなのだそうだ。たしかにこの本も表紙は耽美な雰囲気だが中身は全然ハードぢゃない。